双極性障害の就労移行支援|気分の波を管理しながら働くための事業所選び

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「調子のいい日と悪い日の差が大きすぎて、働き続けられない」

双極性障害(躁うつ病)がある方にとって、働き方の悩みは深いものです。こんな経験はありませんか?

  • 躁状態のときに張り切りすぎて、後でガタっと調子を崩してしまう
  • うつ状態になると、起き上がれず無断欠勤してしまう
  • 躁のときに勢いで転職を繰り返してしまった
  • 「波がある」ことを職場で理解してもらえず、怠け者扱いされる
  • 薬を飲みながら働くことに、周囲の理解がない

双極性障害は、気分の波をコントロールしながら長く付き合っていく病気です。一般雇用の「毎日同じパフォーマンスを出す」という前提は、双極性障害の方にとって非常にハードルが高いものです。

この記事では、双極性障害の方が就労移行支援を活用して、自分の波と付き合いながら働くための方法を解説します。躁・うつの波の管理、事業所選びのポイント、向いている職種まで、専門的な視点でまとめました。


双極性障害と働き方:就労移行支援が選ばれる理由

双極性障害の就労の難しさ

双極性障害は、気分が高揚する「躁状態」と、落ち込む「うつ状態」を繰り返す病気です。厚生労働省の統計によると、日本での患者数は約17万人。一生のうちに発症するリスクは0.4〜0.7%と言われています。

問題は、躁状態のときに「もう治った」と思って治療を中断したり、無理して働いたりすると、その後のうつ状態が深刻化するという悪循環が起きやすいことです。

一般雇用では「調子が悪いから休む」が続くと、業務に支障が出て居場所を失いやすいです。双極性障害の方にとって、「波を理解してくれる環境」で働くことが何より重要になります。

就労移行支援が役立つ3つの理由

1. 波の管理スキルを学べる

就労移行支援では「自己理解」のプログラムがあり、自分の躁・うつの波をセルフモニタリングする方法を学びます。服薬管理、睡眠リズムの整え方、躁のサインを早期発見する方法など、実践的なスキルが身につきます。

2. 障害者雇用で波を受け入れてくれる企業と繋がれる

一般雇用では隠さざるを得ない「波」を、障害者雇用なら前提として企業側が受け入れてくれます。就労移行支援経由で就職すると、「どんな配慮が必要か」を事業所スタッフが企業に伝えてくれるため、スタート地点から配慮ある環境で働けます。

3. 通所中に「自分のペースで働く練習」ができる

就労移行支援は週1〜2日から始められるので、調子の波に合わせて無理なく通所できます。実際の仕事に近い環境で、自分のペースを掴む練習ができるのです。


就労移行支援で学ぶ「波との付き合い方」3つの実践法

実践1:気分記録(ムードチャート)の習慣化

毎日の気分・睡眠時間・服薬状況を記録する「ムードチャート」は、双極性障害の自己管理の基本です。就労移行支援では、スタッフと一緒にムードチャートを書く習慣を作り、自分の波のパターンを客観的に把握できるようになります。

「この時期は調子が上がりやすい」「前兆としてこんな行動が出る」という気づきが、波のコントロールに直結します。

実践2:生活リズムの維持

双極性障害の発症・再発は「生活リズムの乱れ」と深く関係しています。就労移行支援に通うことで、決まった時間に起きて、決まった場所に通うリズムが自然と身につきます。

特に睡眠時間の確保は重要。躁状態で寝不足が続くと、さらに躁が悪化する悪循環に陥ります。「睡眠時間を死守する」という習慣を、スタッフのサポート付きで維持できます。

実践3:躁のサインを早期発見

躁状態は本人にとっては「調子がいい」と感じるため、自分では気づきにくいのが厄介です。就労移行支援では、躁のサインを早期に発見する訓練を行います。

  • 急に話が多くなる、声が大きくなる
  • 睡眠時間が自然と短くなる
  • 何でもできそうな万能感が出てくる
  • 計画や買い物を次々と増やしてしまう

スタッフや通所している仲間からフィードバックを受けることで、「あ、また躁が来てるかも」と早めに気づけるようになります。主治医への相談・薬の調整も早めに動けるので、深刻な躁状態やその後のうつを防げます。


双極性障害に向いている職種・避けたい職種

向いている職種の特徴

  • ルーティン業務が多い職種(事務、データ入力、経理など)
  • 締切やノルマが厳しすぎない職種(裁量権より安定性)
  • 定時で帰れる職種(残業が少ない、夜勤なし)
  • 一人で進められる業務が多い職種(過度な対人業務なし)
  • 短時間勤務や在宅勤務が選べる職種

避けたほうがいい職種の特徴

  • 深夜勤務・シフト制(生活リズムが乱れる)
  • 営業・販売など成果プレッシャーが強い職種
  • 長時間残業・繁忙期が読めない職種
  • 責任が重すぎる管理職・リーダー職(躁状態で暴走しやすい)

双極性障害は「キャリアアップで責任を増やす」より、「自分のペースで長く働ける場所を選ぶ」ほうが安定します。収入より安定性を優先する判断も立派な選択です。

事務職については就労移行支援で事務職を目指す完全ガイドで詳しく解説しています。

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双極性障害の方が事業所を選ぶ3つの基準

基準1:精神障害の利用者・就職実績が多いか

事業所によって、利用者の主な障害種別は異なります。発達障害中心の事業所もあれば、精神障害(うつ病・双極性障害・統合失調症など)が中心の事業所もあります。

双極性障害は精神障害なので、精神障害の方の就職実績が多い事業所を選びましょう。見学時に「双極性障害の方の利用・就職実績はありますか?」と具体的に聞いてOKです。

基準2:体調の波に合わせて通所日数を調整できるか

「週5日フル通所」が前提の事業所は、双極性障害の方には辛いです。うつ状態で休んでも咎められない、躁状態で張り切りすぎないようスタッフが調整してくれる事業所を選びましょう。

基準3:主治医・医療機関との連携があるか

双極性障害は薬物療法が治療の柱なので、主治医との連携が重要です。事業所が主治医に通所状況を報告したり、必要に応じて診察に同行してくれる仕組みがあると、治療と就労訓練の両立がスムーズになります。

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双極性障害の方からよくある質問

Q. 入院歴があっても利用できる?

はい、利用できます。むしろ入院歴があるということは、しっかり治療を受けて退院しているという証でもあります。主治医から「日常生活を送れる状態」と判断されていれば、就労移行支援の利用が可能です。

Q. 精神障害者保健福祉手帳は取得したほうがいい?

就労移行支援の利用自体には手帳は必須ではありません(医師の診断書でOK)。ただし就職後の障害者雇用枠で働くには手帳が必要です。通所しながら並行して手帳取得を進めるのが一般的な流れです。

Q. 躁状態のときに通所したらトラブルを起こしそうで不安

就労移行支援のスタッフは精神障害の対応に慣れています。躁状態のサインが出たら、通所日数を減らしたり、主治医への受診を促したりしてくれます。一人で抱え込まず、スタッフに正直に相談することが大切です。

Q. 就職したあとに調子を崩したらどうなる?

就労移行支援には就職後3年間の定着支援があります。調子を崩したとき、スタッフが企業との間に入って配慮をお願いしてくれたり、一時的に通所日数を減らす調整をしてくれたりします。「もう二度と休めない」という不安がある方にとって、大きな安心材料です。

Q. 過去に躁で仕事を辞めた経歴が多い。面接で不利にならない?

障害者雇用枠では、病気による退職歴は「自己責任」ではなく「体調不良」として扱われます。就労移行支援スタッフが「今は治療が落ち着いていて、波の管理もできる状態」と企業に説明してくれるので、過去の退職歴をマイナスにせず応募できます。


まとめ:波と戦うのではなく、波と共に働く

双極性障害は「治せる病気」というより「付き合っていく病気」です。波をゼロにすることを目指すのではなく、波を小さくしながら長く働き続けることがゴールになります。

就労移行支援を利用すれば、以下の3つが手に入ります。

  • 自己理解のスキル(波のパターンを把握する)
  • 配慮ある職場(波を受け入れてくれる企業)
  • 長く働ける環境と定着支援(就職後3年間のサポート)

「普通に働きたい」と無理をするより、「自分の波に合った働き方」を見つけましょう。見学は無料、1〜2時間で終わります。体調のいい日に、小さな一歩を踏み出してみてください。


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この記事の情報は2026年4月時点のものです。双極性障害の治療・生活に関する個別の相談は、必ず主治医にご相談ください。

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