障害者雇用のカウント方法 早見表|短時間労働者・重度・精神障害者の特例をわかりやすく解説

障害者雇用率のカウントでは、週の所定労働時間30時間以上の労働者を1人、20時間以上30時間未満を0.5人と数えるのが基本とされています。さらに重度身体・知的障害者は1人を2人と数え、精神障害者は特例により週20〜30時間でも「当分の間」1人と算定できます。この記事では、分母となる常用労働者数の数え方から、間違えやすい境界事例、実雇用率の計算例まで、早見表つきで整理します。

カウント方法の全体像──「分子」と「分母」で数え方が違う

障害者雇用率(実雇用率)は、大きく分けると次の割り算で決まります。

  • 分子:雇用している障害者の数(障害区分・重度か否か・労働時間によるカウント換算後)
  • 分母:常用雇用している労働者の数(労働時間によるカウント換算後)

つまずきやすいのは、分子と分母それぞれに別のカウントルールがある点です。たとえば「週25時間勤務の精神障害のある社員」は、分母では0.5人と数える一方、分子では特例により1人と数えられます。この非対称を押さえておかないと、実雇用率の自社計算がずれてしまいます。

カウントルールの根拠は、厚生労働省のリーフレット「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」(PDF)と、JEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)の「事業主のみなさまへ 令和8年度版ご案内」(PDF)で確認できます。

なお、法定雇用率そのものは2026年(令和8年)7月1日から2.7%に引き上げられています。引き上げの詳細と対象企業の範囲(常用労働者37.5人以上への拡大)は、別記事「法定雇用率2.7%への引き上げを解説」で扱っています。

このカウント結果は、対象事業主に義務づけられている毎年6月1日時点の障害者雇用状況のハローワークへの報告(いわゆる6月1日報告)や、常用労働者100人超の企業に求められる納付金の申告のベースになります。つまりカウント方法の理解は、年に一度の報告・申告の正確性に直結する実務知識です。

障害者雇用カウントの早見表(区分×重度×労働時間)

まず結論の早見表です。分子(障害者数)のカウントは次のように整理されています。

障害区分週30時間以上週20時間以上30時間未満週10時間以上20時間未満
身体障害者(重度以外)1人0.5人対象外
身体障害者(重度)2人1人0.5人
知的障害者(重度以外)1人0.5人対象外
知的障害者(重度)2人1人0.5人
精神障害者1人1人(特例・本来0.5人)0.5人

ポイントは3つです。

  1. 重度身体障害者・重度知的障害者は週30時間以上で2人分(ダブルカウント)
  2. 精神障害者は週20〜30時間でも、当分の間の特例で1人と算定できる
  3. 週10〜20時間の「特定短時間労働者」は、重度身体・重度知的・精神の3区分のみ0.5人の対象

以下、それぞれのルールと根拠を順に見ていきます。

常用労働者数(分母)の数え方

分母となる常用労働者数は、JEEDの令和8年度版ご案内(記入説明書相当資料)で次のように定義されています。

週所定労働時間分母のカウント
30時間以上1人=1カウント
20時間以上30時間未満(短時間労働者)1人=0.5カウント
10時間以上20時間未満(特定短時間労働者)分母に算入しない

たとえば「フルタイム90人・週25時間のパート20人」の会社なら、分母は90+20×0.5=100人です。頭数の110人ではありません。

見落とされやすいのは3行目です。週10〜20時間の特定短時間労働者は、後述のとおり障害のある方については分子に0.5人と数えられる場合がありますが、分母(常用労働者数)には含まれないとされています。分子と分母で扱いが対称でない点に注意が必要です。

重度身体障害者・重度知的障害者のダブルカウント

重度の身体障害者・知的障害者を週30時間以上で雇用している場合、1人を2人として算定します。いわゆるダブルカウントです。

さらに、重度の方が週20時間以上30時間未満の短時間勤務の場合は1人と算定されます。重度以外の方の短時間勤務(0.5人)と比べて、ここでも2倍の水準になっている、と整理すると覚えやすいでしょう。

一方で、精神障害者には制度上「重度」の区分が設けられていません。精神障害者保健福祉手帳の等級が何級であっても、ダブルカウントの対象にはならないとされています(代わりに次章の算定特例があります)。

カウント表の詳細は、JEEDハンドブック「障害者雇用率制度」でも確認できます。

精神障害者の算定特例──週20〜30時間でも「当分の間」1カウント

精神障害者である短時間労働者(週20時間以上30時間未満)は、本来なら0.5人のところ、特例により1人と算定できるとされています。

厚労省リーフレット(Point③)の文言では、「週所定労働時間20時間以上30時間未満の精神障害者について、当分の間、雇入れからの期間等に関係なく、1カウントとして算定できる」と説明されています。これは令和5年4月以降の延長措置です。

実務上、次の2点を押さえておくとよいでしょう。

  • 以前は雇入れからの期間等の要件がありましたが、現在は期間等に関係なく適用できるとされています
  • ただしあくまで「当分の間」の措置であり、終了時期は明示されていません。将来変更される可能性がある前提で、自社の雇用計画はこの特例に依存しすぎない設計が望ましいと考えられます

背景として、精神障害のある方の雇用は近年大きく伸びています。厚労省の「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(2025年12月公表)によると、民間企業で雇用される精神障害者は168,542.0人で対前年比11.8%増と、身体障害者(1.3%増)・知的障害者(2.8%増)を上回る伸び率でした。短時間勤務から始めやすいこの特例が、精神障害のある方の雇用の入口を広げている面があると考えられます。

週10〜20時間の「特定短時間労働者」(2024年4月〜)

2024年(令和6年)4月から、週所定労働時間10時間以上20時間未満の「特定短時間労働者」も、雇用率のカウント対象に加わりました。ただし対象は次の3区分のみです。

  • 重度身体障害者:0.5人
  • 重度知的障害者:0.5人
  • 精神障害者:0.5人

重度以外の身体障害者・重度以外の知的障害者は、週10〜20時間では雇用率カウントの対象外とされています。早見表で「対象外」となっている箇所です。

長時間の勤務が難しい方の雇用を評価する仕組みであり、体調に合わせた短時間からの就労を受け入れる企業にとっては、雇用率上もプラスに働く制度と言えます。

間違えやすいケース集──境界事例をチェック

実務で判断に迷いやすいポイントをまとめます。

(1)週20時間ちょうどの労働者 区分は「20時間以上30時間未満」なので、週20時間ちょうどは短時間労働者に含まれます。分母は0.5カウント、分子は0.5人(精神障害者は特例で1人)です。逆に週30時間ちょうどは「30時間以上」に含まれ、1カウントです。

(2)重度の方の短時間勤務 重度身体・重度知的の週20〜30時間は1人です。「短時間だから0.5人」と早合点しないよう注意が必要です。

(3)週10〜20時間の重度以外の身体・知的障害者 分子の対象外であるうえ、特定短時間労働者は分母にも算入されません。つまり実雇用率の計算上は分子にも分母にも登場しないことになります。

(4)手帳の等級と「重度」の関係 カウント上の「重度」に該当するかどうかは、障害者手帳の等級等に基づいて判定されるとされていますが、等級から機械的に決めつけるのは危険です。また前述のとおり精神障害者には重度区分自体がありません。個別のケースは、ハローワークなど公的窓口に確認するのが確実性の高い進め方です。

(5)そもそも自社は対象か 法定雇用率の対象事業主の範囲は、2026年7月からは常用労働者37.5人以上に拡大されています。「うちはまだ小さいから関係ない」と思っていた企業も対象に入ってくる段階ですので、「法定雇用率2.7%への引き上げ解説」で自社の位置づけを確認してみてください。

実雇用率の計算式と計算例──小数点以下は切り捨て

法定雇用障害者数(雇用しなければならない人数)は、次の式で求めるとされています。

法定雇用障害者数 = 常用労働者数(換算後) × 法定雇用率(2.7%) ※1人未満の端数(小数点以下)は切り捨て

具体例で計算してみます。

  • 週30時間以上の労働者:100人
  • 週20〜30時間の短時間労働者:20人
  • 雇用障害者:重度身体障害者1人(週30時間以上)、精神障害者1人(週25時間)

分母:100 + 20×0.5 = 110人 法定雇用障害者数:110 × 2.7% = 2.97 → 端数切り捨てで2人 分子:重度身体(30時間以上)=2人 + 精神(20〜30時間・特例)=1人 → 3人 実雇用率:3 ÷ 110 = 約2.72%

この例では法定雇用率2.7%を上回っている計算になります。もし分子が2人なら約1.82%で未達となり、不足数に応じて納付金(常用労働者100人超の場合)の対象になり得ます。

未達は決して珍しい状態ではありません。令和7年の集計では法定雇用率未達成の企業は65,033社にのぼり、そのうち64.0%は不足数が0.5人または1人の「あと1人」企業とされています。カウント方法を正しく理解して0.5人・1人の差を積み上げることが、達成・未達の分かれ目になりやすいと言えます。

自社の人数構成でいくらになるかは、筆者が開発・公開している無料ツール「障害者雇用納付金シミュレーター」で試算できます。労働時間・障害区分ごとの人数を入れると、本記事のカウント表に沿って実雇用率と納付金・調整金の概算が表示されます(※あくまで概算・参考値です。正式な申告値はJEEDの記入説明書に沿ってご確認ください)。

除外率制度の概要──対象業種は分母の計算が変わる

一部の業種では、障害者の就業が一般的に困難とされる職務の割合に応じて、雇用義務の計算上、常用労働者数から一定割合を除外して計算する「除外率制度」が設けられています。

この除外率は、2025年(令和7年)4月1日から各設定業種で一律10ポイント引き下げられました。除外率が10%以下だった業種は制度の対象外となり、現在の除外率表は5%〜70%の11区分とされています(厚労省リーフレットに業種別の表が掲載されています)。

除外率の対象業種に該当する場合、本記事の計算例とは分母の扱いが変わりますので、自社の業種が該当するかどうかをリーフレットの除外率表で確認してください。なお、前述のシミュレーターは除外率の計算には対応しておらず、その旨の免責を表示する設計になっています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 週20時間ちょうどのパート従業員はカウントされますか?

A. 「週20時間以上30時間未満」の短時間労働者に含まれるとされています。分母では0.5カウント、障害のある方であれば分子でも原則0.5人(精神障害者は当分の間の特例で1人)と算定されます。週20時間未満に短縮すると扱いが変わる境界線なので、所定労働時間の設定は慎重に確認してください。

Q2. 精神障害者の「1カウント特例」はいつまで続きますか?

A. 厚労省リーフレットでは「当分の間」とされており、終了時期は明示されていません。将来見直される可能性を前提に、最新のリーフレットやJEEDの案内で継続状況を確認することをおすすめします。

Q3. 週10〜20時間の特定短時間労働者を雇うと、分母(常用労働者数)は増えますか?

A. 増えないとされています。特定短時間労働者は常用労働者数の算定範囲に含まれない一方、重度身体・重度知的・精神の3区分に該当する方であれば分子に0.5人と算定されます。分母を増やさずに分子だけが増える働き方という点で、実雇用率の観点では取り組みやすい選択肢の一つと考えられます。

まとめ──カウントを正しく押さえて、次は採用の実務へ

障害者雇用のカウント方法の要点を振り返ります。

  • 分母:週30時間以上=1、週20〜30時間=0.5、週10〜20時間は分母外
  • 分子:重度身体・知的は2倍、精神障害者は週20〜30時間でも当分の間1カウント
  • 週10〜20時間は重度身体・重度知的・精神の3区分のみ0.5カウント(2024年4月〜)
  • 法定雇用障害者数は小数点以下切り捨てで算出
  • 除外率の対象業種は分母の計算が別途変わる(2025年4月に10ポイント引き下げ)

カウントの結果、不足が見えた場合の納付金の金額・申告手続き・調整金や報奨金まで含めた制度の全体像は、ハブ記事「障害者雇用納付金 完全ガイド」で解説しています。また、実際に雇用数を積み上げていくための採用ルート──ハローワークや就労移行支援事業所との連携──については「就労移行支援事業所と連携した障害者採用の進め方」を参考にしてください。

まずは自社の現状を数字で把握するところからです。手元の従業員構成で実雇用率がどうなるか、筆者が開発した無料シミュレーター(概算・参考値)で確認してみてください。


参考資料(一次情報)

(最終確認日:2026年7月4日。制度内容は今後変更される可能性があります。正式な判定・申告にあたっては上記の一次資料および公的窓口でご確認ください。)

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